気象庁は21日、海底地震計の観測データを新たに使い、緊急地震速報を出すようにすると発表した。東日本大震災のような日本海溝付近の地震は現在より最大25秒、南海トラフ地震の想定震源域にあたる紀伊半島沖などは同10秒早く出せるようになるという。27日正午から運用を始める。
気象庁は自前で整備した地震計の計測データを使い、緊急地震速報を出してきた。陸上では全国に約690カ所の観測点がある一方、海底には静岡県沖から三重県沖にかけての5カ所しかなく、観測態勢の強化が求められていた。
国立研究開発法人・防災科学技術研究所が北海道沖から千葉県沖の日本海溝付近と、紀伊半島沖から四国・室戸岬沖にそれぞれ整備した地震観測網のデータ提供を受ける。
日本海溝付近は陸側のプレートの下に太平洋プレートが沈み込み、東日本大震災をはじめしばしば大きな地震が発生。紀伊半島沖などは南海トラフ地震の想定震源域に位置している。気象庁の担当者は「大きな被害が想定される地震で少しでも早く速報を出すことで、住民が身を守る行動につながれば」と話している。(桑原紀彦)