オリンパスや東芝など、日本を代表する上場企業で相次いだ、粉飾決算などの不正会計。不正の兆候を見逃さないためのAI(人工知能)の開発が、大手監査法人や研究者の間で本格化している。会計の「ウソ」を見抜くAIの実力とは。
大手のあずさ監査法人の研究者は、「企業が不正をしている確率」をAIで割り出すシミュレーションを繰り返している。
まずは過去に不正をした企業の財務データを十数年分集め、さまざまな不正のパターンをAIに学習させる。そのAIに、これから監査しようとする各企業の財務データを分析させると「不正確率」が割り出され、ランク付けされるというものだ。不正リスクが高い企業をしぼり込み、会計士が重点的に調べる「AIと人間の連係プレー」を想定している。
同じく大手のPwCあらた監査法人は2016年、「AI監査研究所」を立ち上げた。辻村和之所長が着目するのは、会計士が経験上持つ「懐疑心」をAIに学ばせ、細部に宿る不正の兆候を見つける可能性だ。
企業では、取引データを簿記に…