かつて日本囲碁界の覇者だった元名人・張栩(ちょうう)九段(38)が、長いトンネルを抜けて、挑戦者として再び名人戦の大舞台に戻ってきた。相手は9年前、史上最年少の20歳で張から名人を奪った井山裕太名人(29)。28日開幕の第43期名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)で対戦する。
張は今期名人戦リーグで8戦全勝して挑戦権を獲得した。井山との決戦を前に「長かったですね。やっと、という感じです」と話した。
台湾出身。10歳で囲碁先進国の日本へ。14歳でプロ入りし、23歳の2003年、囲碁七大タイトルの一つ本因坊を獲得。09年、29歳で史上最多の五冠となった。
名人戦七番勝負で、張は08年と09年に井山と戦い、08年は4勝3敗で名人位を防衛したが、09年は1勝4敗で失冠した。13年に9年8カ月ぶりに無冠になり、14年からはタイトル挑戦もならず雌伏の時を過ごした。一方で、井山は張らの保持するタイトルを次々にはがし、張の最多タイトル記録を抜いて16年、史上初の七冠独占を達成した。
長く第一線で戦った張は、心身…