今年メジャーデビューした、女性ボーカルのロックバンド「噓(うそ)とカメレオン」が初アルバム「ヲトシアナ」を出した。3月に交通事故に遭い、メンバーが重傷を負ったが、夏ごろに活動を再開。27日には東京・渋谷のクラブクアトロでライブを行う。
2014年に結成。メンバーはボーカルのチャム(.△)、ギターの渡辺壮亮と菅野悠太、ベースの渋江アサヒ、ドラムスの青山拓心の5人。「カメレオンのように自在に姿を変えながら、女性ボーカルバンドの既成概念を裏切るバンドでありたい」との思いからバンド名を決めた。16年12月、初制作のミュージックビデオ「されど奇術師は賽(さい)を振る」をYouTubeにアップ。再生回数が伸びて注目された。
5人それぞれの奏でる音が並立する立体的な構成の楽曲で、「幾何学的」と称されることも。好きな音楽はバラバラという5人の個性がぶつかり合う。リーダーはいない。
曲を作る渡辺は、小学生のときにカシオペアとYMOにハマリ、ドラムやギターを練習した。今は全体のアレンジも手がける。各楽器が全く別のフレーズを演奏し、全員の音が重なったときにアンサンブルとして成立するような楽曲が好きだという。
「音楽的な面白みや精神的なとげ、引っかかりが欲しい。聴いた人が『やられた』と感じるものを作りたい」と渡辺。
チャムが詞を書く。幼い頃から本を読んだり映画を見たりするのが好きで、「音楽やバンドのカルチャーがなく、スタジオもない広島の小さな町で育ったんです」。物心がつく頃まで、父親が好きなマイケル・ジャクソンしか音楽を聴いたことがなく、山の中や野原で歌っていたそうだ。
「想像の余白がある風景のよう…