「老人と海」「武器よさらば」などで知られる米の文豪アーネスト・ヘミングウェイ(1899~1961)が晩年に書いた未発表短編の日本語版が、11月7日発売の文芸誌「新潮」12月号に掲載されることがわかった。ノーベル賞作家が生前の発表を避けた「新作」が、死後半世紀以上を経て読者の元に届く。
作品のタイトルは「A ROOM ON THE GARDEN SIDE」。第2次世界大戦中の1944年8月、ナチス・ドイツから解放されたパリのホテルで、兵士とみられる男たちが酒を飲みながら語り合う。作品は今夏、未発表作品やミステリー小説などを主に扱う米文芸誌「ストランド・マガジン」に掲載された。ヘミングウェイ研究者の今村楯夫・東京女子大名誉教授が翻訳し、「中庭に面した部屋」として日本で公表されることになった。
編集担当者のアンドリュー・グッリさんによると、「中庭――」は、ヘミングウェイが自殺する5年前の56年ごろに書いた複数の短編のうちの一つで、米ボストンにあるジョン・F・ケネディ図書館に保管されていた。ヘミングウェイ側の関係者らと交渉した末、公開に至ったという。
今村さんによると、ヘミングウ…