映画「ローマの休日」でも有名な「真実の口」が、大阪府吹田市の大阪大病院にお目見えした。口に手を入れると、アルコール消毒液が出てくる仕組み。インフルエンザシーズンに入る前に、手や指の消毒を意識してもらうのがねらいという。11月中旬まで設置される予定で、30日、報道陣に公開された。
病院の正面玄関から入ってすぐの場所に、置かれた。おそるおそる手を入れた女児は、自動で出てくる消毒液にびっくりした様子。看護師に説明を聞き、試してみた女性は「わ! ほんまやわ」と笑顔になった。その後も、多くの人が手を入れていた。
企画したのは、同病院感染制御部の森井大一(だいいち)医師。森井さんによると、予防のためには、ワクチンや手洗い、うがいに加え、手や指のアルコール消毒も大切だが、あまり根付いていないという。同病院でも、玄関に常時設置しているアルコール消毒液を使う人は、来訪者の0・5%しかいなかった。
そこで、「真実の口」の模型を使ったアルコール消毒をするという同大経済学研究科の松村真宏教授のアイデアを借り、病院内に設置することにした。森井さんは「思わず口に手を入れてしまいたくなる気持ちを利用している。アルコール消毒を普段から意識してもらえれば」。
同病院は1日に5千人が利用するという。木村正(ただし)・病院長は「病院に外からウイルスを持ち込まないようにする。院内感染が少しでも減ればいい」と話した。
インフルエンザは毎年1500万人以上が感染するとされる。最近流行している風疹ウイルスも、アルコール消毒が有効だ。一方、冬場に流行するノロウイルスはアルコールが効かないため、流水でしっかり洗い流す必要がある。(後藤一也)