俳優・吉田羊さん
ミドルエイジの女性たちが、年齢を重ねることを楽しみ、自分らしく生きられる社会に――。そんな願いを込めて、朝日新聞社と宝島社の女性誌「GLOW」が始めた「Aging Gracefully」プロジェクトの顔を務めるのが、俳優の吉田羊さんだ。
特集:わたしらしく
小劇場で経験を積み、映像作品への出演は30歳を過ぎてから。ここ数年は映画やドラマ、CMにバラエティーと、顔を見ない日がないほどの活躍ぶりだが、「今でも自分に自信がない」と語る。そんな吉田さんが考えるキャリアや、いい年齢の重ね方とは。
今秋公開の映画2作品では、いずれも印象的な母親役を演じている。「母さんがどんなに僕を嫌いでも」の光子は、情緒不安定で、容赦なく息子に手をあげる。最初は理解できなかったが、監督に「幼女のように、でこぼこに演じて」と言われて納得した。「私の中の『光子さんの気持ちが分からない』という思いが、未熟なまま母親役を強いられた彼女の不安定さに表れていると思います」
ハワイで撮影した「ハナレイ・ベイ」は、「俳優としてのプライドを粉々にされた、思い出深い作品」と振り返った。シングルマザー・サチの息子はハワイでサーフィン中、サメに襲われて亡くなる。サチはその後10年間、息子の命日をハワイで過ごす。
「私が『こうじゃないか』と表現するサチを、監督はことごとく『好きじゃない』『そんなのは要らない』と言う。自分の限界に挑戦し、新たな境地に立たせてもらった気がします」
経験を重ねても、姿勢はあくまで謙虚なまま。「お仕事をいただくたび、勘違いしないようにと思うんです。全ては、人がつないでくださったご縁なので」
とはいえ、仕事が重なりすぎて…