NTTドコモとガラス大手のAGCは7日、携帯電話の電波をやりとりする基地局で使う、透明なガラス製のアンテナを開発したと発表した。窓の内側に貼り付けることで、目立たず、景観を損なわない利点がある。通信量が多く、多数の基地局が必要な都市部での活用を見込む。来年春をめどに東京都内で設置を始め、その後全国に広げる予定だ。
「ガラスアンテナ」は縦21センチ、横70センチ。透明な素材でできた薄いアンテナをガラスで挟んだ。窓の内側に貼り付けても、窓ガラスを通して屋外に十分な電波を送れる新技術を活用した。約200メートルの範囲で快適に通信できるという。基地局の無線装置部分は天井裏などに設置することを想定している。
現在、基地局は主に屋外に設置している。スマートフォンの普及で通信量は増え続けており、ドコモは通信速度を保つため、特に人が多い都市部で小規模な基地局を増やしてきた。アンテナはビルの屋上や壁面などに取り付けるが、場所の確保が難しく、景観を損なうという課題もあった。
今後はガラスアンテナを使い、基地局の屋内への設置を進める。2020年までに実用化される次世代の高速移動通信方式「5G」での利用も目指す。(徳島慎也)