米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設工事が再開された名護市辺野古で、県警機動隊による反対派の強制排除が再び始まった。資材搬入を阻止しようと米軍キャンプ・シュワブの工事用ゲート前に座り込む市民らが、数人がかりで抱え上げられ、運び出される光景がほぼ連日繰り返されている。
本土との溝、基地問題の行方は…沖縄はいま
20日午前9時前。ゲート前には、資材を運び込むダンプカーなど数十台が列を作っていた。沖縄防衛局が高さ約4メートルの柵を設けており、歩道の幅は1メートルほど。そこに高齢者を中心に約50人が座り込んでいた。
「新基地建設反対」「違法な工事はやめろ」などと声を上げるが、機動隊員に手や足をつかまれ、離れた一角へ運ばれる。そこで機動隊員に取り囲まれている間に、ダンプカーが続々とゲート内に入った。正午過ぎまでに入った大型車両は100台以上に上った。
移設工事は、県が8月末に埋め立て承認を撤回してストップしていたが、防衛省が申し立てた撤回の効力停止を石井啓一・国土交通相が認め、11月1日から再開された。ゲートからの資材搬入は15日に始まった。
沖縄平和市民連絡会の高里鈴代共同代表は「知事選で明らかになった世論を無視した工事は許されない。機動隊も我々をもっと人間らしく扱うべきだ」と憤る。
沿岸部の埋め立てについては、防衛省は年内の土砂投入を目指すが、土砂を搬出する本部町(もとぶちょう)の港が台風で損壊し使えない状態が続いている。(伊藤和行)