ノルディックスキー・ジャンプ男子のワールドカップ(W杯)を兼ねて、ドイツとオーストリアで4連戦を行う伝統のジャンプ週間が29日、開幕。今季のW杯で7戦4勝の小林陵侑(りょうゆう)(22)=土屋ホーム=が「大本命」として、船木和喜(43)=フィット=以来、日本勢2人目の総合優勝に挑む。
「調子は良いので、とりあえず1勝めざして頑張りたい」。日本を27日に発った小林陵は、さらりと意気込みを語った。総合優勝については、昨季総合4位だった兄の潤志郎(27)=雪印メグミルク=を引き合いに出し、「お兄ちゃんで4位だったら、表彰台にいけるかもしれないですね」。
ジャンプ週間は1953年に始まり、年末年始に4試合を戦って総合優勝を決める。この権威ある大会には例年、欧州勢が調子を上げてきており、日本勢の総合優勝は1997~98年シーズンの船木だけだ。
平昌(ピョンチャン)五輪の個人ノーマルヒルで日本勢トップの7位に入賞した小林陵だが、昨季までW杯の表彰台にも立てなかった。大ブレークの理由は助走姿勢の改良にある。重心をより低くしてクローチング姿勢を組んだ結果、「助走スピードが速くなって、いいエネルギーで飛び出せている」という。
不安は日本に一時帰国した間、雪不足などで飛べなかったことか。左ひざにはジャンパー特有の痛みも抱える。欧州勢は時差ぼけもなく調整している。それでも、所属先で監督を兼ねる葛西紀明(46)は「今の調子だと何も関係ない。どこにいっても飛んじゃう」と言うほど、勢いがある。
小林陵はすでに年間4勝。葛西が98~99年シーズンに打ち立てた年間6勝の日本選手最多記録を一気に抜き去れば、総合優勝が近づいてくる。(笠井正基)