アメリカンフットボールの日本選手権・第72回ライスボウルは3日、東京ドームで行われ、学生王者の関学大は17―52で社会人王者の富士通に敗れた。昨年5月、日大との定期戦で悪質タックルの被害を受けた関学大の2年生QB奥野耕世が先発した。
「もう、やめたい。俺がアメフトやってるから、こんなんなったんや……」
悪質タックルの被害を受けた直後、奥野は自宅で、父の康俊さんと母を前に力なくつぶやいた。小学生から続けてきた大好きなアメフト。19歳(当時)は精神的に底まで落ちた。
「スポーツの範疇(はんちゅう)を超えている」。5月12日、関学大は抗議文を送ったことを明らかにした。これを皮切りに、日大アメフト部の内田正人監督、加害者の選手、そして康俊さんが次々と報道陣の前に立った。関学大は計3回も記者会見を開いた。報道は過熱した。
渦中で、奥野は苦しんでいた。…