(24日、全豪オープン第11日)
大坂なおみ、全豪で決勝進出 勝てば世界ランク1位に
大坂なおみ、重圧負けず「名言」連発 周囲を和ませる
マッチポイントで、大坂は時速179キロのサーブを放った。球はセンターで跳ね、いったんはフォールトとみなされた。
「第2サーブは打ちたくない。入っていて」
大型モニターを見上げ、胸の前で手を合わせて祈った。CGを駆使した判定は、白線にごくわずかにかかる「イン」だった。「チャレンジ」で結果を覆した大坂は両拳を握ると、うれしそうに跳ねた。
第3セットは、2ゲーム目で3度もブレークされそうになった。スピンのきいたフォアのクロスハンドを打ち、相手の打ち損ないを誘う。広角に振ってスペースをつくり、ダウンザラインを決めた。2セット目から続いていた嫌な流れを断ち切ると、直後のゲームでブレークに成功。競り合いで優位に立った。
第1セットから一気にストレート勝ちするのが、大坂の必勝パターンだった。それが、今大会は逆転を含めて3度のフルセット勝利だ。21歳は、耐えて勝機を見いだすことや、ストローク戦で優位に立つしたたかさを覚えつつある。
準々決勝を終えた後、「ミスの少ない選手との対戦に慣れることができた。私の組み合わせは良かった」と言った。この準決勝では、やはりミスの少ないプリスコバのお株を奪うような、相手を手玉に取るプレーも見せた。緩いサーブで、速さを警戒する相手の裏もかいた。
大坂は、初優勝した昨年の全米オープン決勝前、「負ける夢は見ません」と語った。あれから4カ月。こんなに早く巡ってきた、4大大会の戴冠(たいかん)のチャンスだ。それも、勝者が世界ランキング1位も手に入れるというシチュエーション。
「誰だってすぐに世界1位になれるわけじゃない。もしも、私がなれたら信じられない」(富山正浩)