3列並んだテーブルに女性たちが着席する。正午過ぎ。点呼が終わると、声を合わせた。
「いただきます」
1月中旬、福島市南沢又の福島刑務支所。全国に11ある女性刑務所の一つで、東北では唯一の施設だ。
食堂は、懲役受刑者がミシン作業などをする工場の隣にある。手を合わせたり、軽く頭を下げたりした後、42人の女性たちが一斉に食べ始める。全員が薄いピンク色の作業着を着て、運動靴を履いている。
この日の献立は、レトルトのハンバーグ、ブロッコリーマヨネーズ(ニンジン入り)、ナポリタン、麦飯、牛乳。
白や黄色の皿に盛られた食事は、緑やオレンジ、茶色など色彩豊か。レトルトの封が切られると、デミグラスソースの甘い香りが広がった。
私語は禁止。互いに目も合わせず、黙々と食べる。
食事中の私語に、全国の刑務所で統一のルールはなく、認められている施設もある。けんかなどの原因になるのを避けるため、ここでは禁止しているという。
盛りつけの量も公平になるよう、刑務官が厳しくチェックする。「食事は受刑者の楽しみ。多い少ないがトラブルのもとになるので」(支所幹部)。人間関係に気を配り、席順も刑務所が決めている。
ひとり、別メニューらしきもの…