米製薬大手ファイザー日本法人(東京)は8日、高血圧症治療剤「アムバロ配合錠『ファイザー』」の5製品、計約76万4千錠を自主回収すると発表した。提携するインドの工場で製造された薬の原材料に、発がんの可能性がある物質が混入していた。服用すると重い健康被害が出る恐れもあるが、現時点では被害の報告はないという。
製品は昨年12月3日から今年2月6日、卸売業者を通じて国内約2500の病院や薬局に出荷された。医療用の医薬品のため、購入するには医師の処方が必要となる。
薬の原材料となる有効成分「バルサルタン」の中に、発がんの可能性がある物質が混入していた。原因は調査中という。
あすか製薬(東京)が昨年7月、バルサルタンを原材料に使う高血圧症治療剤「バルサルタン錠『AA』」の4製品に、発がんの恐れがある物質が含まれていたと発表。厚生労働省が製薬各社に高血圧症治療薬の調査を呼びかけたところ、ファイザーの薬でも同様の物質が含まれていると発覚した。
ファイザーは、服用を中止すれば症状が悪化する恐れもあるため、今後の対応は医師らと相談して決めてほしいと呼びかけている。問い合わせ先は同社専用ダイヤル(0120・281・787)。(箱谷真司)