国内製薬最大手の武田薬品工業は7日、アイルランドの製薬大手シャイアー買収に関する説明会を東京都内の本社で開いた。クリストフ・ウェバー社長らの主なやり取りは次の通り。
――シャイアー買収によって、一般消費者向けの「大衆薬」は今後どうしていくのか。
武田の巨額買収、8日発効 日本の従業員は全体の1割に
ウェバー社長「(買収による資金リスク低下のため)、ノンコア(非中核)資産の売却を今後は進めるが、日本において武田の大衆薬は十分なシェアがあり、今の状況で満足している。資産売却の第一優先ではない」
――世界の製薬業界では大規模なM&A(企業合併・買収)が進んでいる。この流れは加速するのか。
「世界の製薬トップ10をみれば、M&Aをしなかった会社は1社たりともなく、この業界の常だ。なぜなら、この業界には巨額の投資とリスクを伴うからだ。加えて(既存薬の)特許切れ(による収益低下)という、業界特有の避けがたい性質もある。このトレンドは何年も続く」
――国内事業の現状と今後の課題をどうみるか。
岩崎真人取締役「日本の社会保障費は大きく上がっていて、その多くが医療費。薬価へのプレッシャーも増えていて、決して明るくはない。ただ、日本での武田の存在感が会社全体の柱であることに変わりはない。武田は日本の医療機関のほとんどをカバーするプラットフォーム(基盤)がある。さらにシャイアー買収で、日本でのビジネスのトランスフォーメーション(変革)を加速できる」(箱谷真司)