4月に史上最年少の囲碁棋士となる大阪の小学4年生、仲邑菫(なかむらすみれ)さん(9)が20日、東京・市ケ谷の日本棋院で台湾最強の女流棋士、黒嘉嘉(こくかか)七段(24)と特別対局し、一時は優勢を築いたが終盤に逆転され、228手までで中押しで敗れた。
黒七段、大健闘の準優勝 囲碁の女流世界戦、於六段がV
黒七段は台湾でトップモデルとしても人気の棋士。棋力は世界トップレベルで、昨年の女流世界戦「SENKO CUP」では準優勝した。今回の対局は、22日から東京で始まる同棋戦に出場する黒七段の来日に合わせて実現。対局場には報道陣が50人以上集まった。
仲邑さんが最小ハンディの先番コミなしで挑む持ち時間各10分、使い切ると1手30秒の秒読みに入る早碁。仲邑さんは碁盤の高さに合わせて、靴を脱ぎ、椅子に正座して黒七段に対した。
序盤早々、黒七段が仲邑さんの黒石の一団に襲いかかり、一手間違えれば奈落の底に落ちる険しい手どころで、仲邑さんは決断よく最強手で応じきり有利な分かれに導いた。
「いけるかも」。プロの検討陣はわいたが、中盤以降、黒七段が追い上げ逆転された。
対局後、仲邑さんは「うまく打てた」と胸を張って話した。仲邑さんと初対面の黒七段は「仲邑さんは写真でもかわいかったけど、実際に会ってみるともっとかわいかった」。棋力については「すごく力強い。9歳でこれだけ強いとは、将来がとても楽しみ」と話した。現地で観戦した藤沢里菜女流三冠(20)は「一直線の碁ではなく、流れに緩急をつけて9歳の碁とは思えない。みんなで『大人だな』と話していた」と感心していた。(大出公二)