国内銀行最大手の三菱UFJ銀行は4月1日から、成果主義の要素を強めた新たな賃金制度を導入する。年功色を薄め、業務や役職に応じた差を大きくする。超低金利や人口減で国内業務の採算が悪化し、店舗削減や人員見直しに取り組んでおり、給与体系も見直す。年功色が強いとされる銀行業界で成果主義を強めるのは珍しいという。
三菱UFJの賃金制度の大幅な見直しは2010年以来、9年ぶり。現在の給与では、勤続年数に応じて上がる年功色が強い「職能給」と、担当業務に基づき成果色が強い「職務給」の比率が「おおむね6対4のイメージ」(幹部)。新制度はこれを逆転させる。業務の重要度やポストで賃金は大きく変わる。
職能給、職務給の内容も見直す。職能給の区分は簡素化するなどして、年齢が上がっても自動的に上がりにくくなる。職務給は逆に区分を細かく分け、ポストなどに応じて給与の差がつきやすくなる。業務により給与が大きく増減する。給与制度の見直しと同時に、若手や中堅行員を責任あるポストに早期に登用することも検討する。
金融界は、ITを活用した「フィンテック」や現金を使わないキャッシュレスの進展で異業種の参入も続き、競争が激しい。給与改革で優秀な人材獲得につなげる狙いもある。ただ銀行業務で多いチームプレーの要素や数字に表れにくい下支えの業務をどう評価するかなど、運用上の課題も残されている。
■金融業界、厳しい経…