宅配便大手のヤマトホールディングス(HD)は21日、取締役執行役員でヤマト運輸社長の長尾裕氏(53)がヤマトHDの社長に昇格する人事を発表した。4年間社長を務めた山内雅喜氏(58)は代表権のない会長に就く。4月1日付。
ヤマトHDでは2017年に200億円超の残業代未払いが発覚。18年には子会社のヤマトホームコンビニエンス(YHC)による法人向け引っ越し料金の過大請求が明らかになり、今年1月には国土交通省から事業改善命令を受けた。
都内で会見した山内氏は「ご心配をおかけしたことを真摯(しんし)に受け止めているが、それらのことがあったから(辞任するの)ではない」と引責辞任を否定。信頼回復について「完全に完了はしていないが、道筋は見えてきた」と述べ、創業100年を迎えることなどを交代の理由に挙げた。
現在、YHCは引っ越しの引き受けを停止している。年度末に向けて引っ越し需要が高まるが、長尾氏は「どういうサービスであるべきか再検討したい」とし、再開時期は明らかにしなかった。
一方、宅配便事業では、17年から法人客に対して運賃の値上げ交渉を開始。単価が上がり、18年4~12月期の純利益は前年同期の約2・5倍増となる431億円となった。長尾氏は「事業構造を変えた効果が出始めている。持続的に良いサービスを提供できるように、省人化や効率化に取り込む」と述べた。(北見英城)