米国の経済学界で最近話題の経済理論「MMT(Modern Monetary Theory=現代金融理論)」。財政赤字なんか膨らんでもへっちゃらで、中央銀行に紙幣を刷らせれば財源はいくらでもある、というかなりの「トンデモ理論」である。
MMTを提唱する米国の大学教授は、「手本は日本」と言い、アベノミクスや異次元緩和がその理論の「本家」だと名指ししている。当の日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は「MMTとはまったく何の関係もない」と迷惑顔なのだが――。
米国でMMTが話題となっているのは、提唱するニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授が、来年の米大統領選に名乗りをあげている民主党左派の政治家、バーニー・サンダース上院議員の政策ブレーンだからだ。
米国では、共和党のトランプ大統領が保護主義的な貿易政策に加えて、減税などのバラマキ政策で人気取りに走っている。
対抗するため、来年の大統領選に向け、民主党側からも極端なポピュリズム政策が出てくる可能性がある。MMTはその筆頭だ。
有力な経済学者たちはみな、MMTを批判している。積極的な金融緩和を提唱してきたノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏も例外ではない。
しかしケルトン氏は自信満々の姿勢を崩さない。
根拠となっているのが「日本の…