(12日、Jリーグ FC東京1-0磐田)
17歳ながら、気持ちの余裕が感じられるゴールパフォーマンスだった。
後半39分、FC東京のMF久保建は、左CKのこぼれ球を左足で鮮やかなボレーシュート。今季J1初得点を決めると、抱きつこうとする先輩たちを制止しながらメインスタンドへ走り、両手で「T」を作った。
イベントで来場していたお笑いコンビ「チョコレートプラネット」のネタに合わせた「TTポーズ」だった。チーム広報からゴールを決めたらやって欲しいと頼まれていたという。「これで、広報の人も株があがったんじゃないですかね」。さらりと言った。
ともすれば生意気にうつる言動もある。ただ、あるスタッフは「はっきり意見を言う海外選手みたいだと思えば、かわいいもの」。10歳で強豪バルセロナ(スペイン)の育成組織に入り、13歳で帰国。このスタッフは「我が強い選手たちの中で勝負できたのも、自立した人間だったからだと思う」と言う。15歳でU20(20歳以下)ワールドカップに出場。6月の南米選手権では、初のA代表となるメンバー入りが濃厚だ。
礼儀知らずではない。試合前、対戦相手と握手するときはもう片手を添える。サポーターからのコールには、両腕を上げて拍手したあと、深々と頭を下げる。
この日の自らのプレーに納得はしていないという。それでも、「結果が出ればいいというタイプではないけど、今日くらいは(自分を)許してもいいかなって感じです」と、ゴールを素直に喜んだ。(勝見壮史)
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長谷川監督(東) 決勝点の久保建について、「落下点を予測して動いていた。シュート技術はチームトップクラス」。