2020年東京五輪・パラリンピックをめぐり、関連施設の建設現場の労働環境に様々な問題があるとして、労働組合の国際組織が大会組織委員会や東京都、日本スポーツ振興センター(JSC)に改善を求める報告書を送った。危険な現場や過重労働の実態などを指摘し、「惨事にならないようすぐに対策をとるべきだ」としている。 頭上に巨大コンクリ「命いくつあっても…」五輪建設現場 報告書をまとめたのは、国際建設林業労働組合連盟(BWI、本部・ジュネーブ)。約130カ国・地域の約335の労組が加盟し、ブラジル・リオデジャネイロや韓国・平昌など過去の五輪でも労働条件改善を訴えてきた。今回の報告書は日本時間14日夜に送られた。 BWIは16年から東京大会の労働環境について調査。今年2月には、新国立競技場や選手村の建設現場で働く労働者ら約40人から聞き取りをした。報告書では、月に26日や28日働いている例がある▽つり上げた資材の下で作業をしている▽通報窓口が機能していない▽外国人技能実習生もいるにもかかわらず一部は通報受付が日本語のみ、など問題点を指摘。「頭上をコンクリートがプラプラしている状態で怖い」といった現場の声にも触れ、「労働者が極めて危機な状況に置かれている」などとして組織委や都、JSCに対し、建設現場の共同査察を提案した。 五輪関連施設をめぐっては、17年に新国立競技場の建設工事に従事していた建設会社の男性社員(当時23)が自殺。「極度の長時間労働」による精神疾患が原因として労災認定された。報告書は、現在も「危険な過労の状況が続いている」とし、過労による事故や自殺を防ぐ処置がされていないとした。 BWIによると、五輪をめぐってはロンドンで1人、ロシア・ソチで70人、リオで12人、平昌で4人の労働者が死亡。東京に向けては2人が亡くなったとしている。BWIの担当者は「東京は『死亡事故ゼロの五輪』というレガシーを残せたはず。開催が近づくと事故が増える傾向があり、今からでも労働者の安全を守るべきだ」と語る。 JSCは取材に対し「事実関係を確認している。工事の受注者には適正な労務管理を行うよう重ねて要請している」とコメント。組織委は「文章の内容を確認しており、対応は今後検討する」、都は「受け取っていない」としている。(平山亜理) BWIの報告書が指摘した問題点 ・選手村の建設現場で、つり上げられた資材の下で労働者が作業 ・労働者から相談を受けた労働組合がJSCに通報しても不受理に ・都とJSCは、通報の受け付けが日本語のみ ・外国人技能実習生に単純作業のみを強いる ・新国立競技場の現場では月26日間、選手村では同28日間働く労働者も ・ヘルメットなどの安全器具を労働者が自分で購入する例も ・聞き取りをした労働者の半数は雇用契約がない |
東京五輪、建設現場は「危険な状況」労組国際組織が指摘
新闻录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语
相关文章
五輪、今度は「ホテルがない」 組織委が大量に仮押さえ
猛暑の五輪対策、古い救急車の交換遅らせる 不足懸念で
聖火リレー走者の公募開始 チャンスは5回、条件は?
五輪向けテスト大会が始動 防カメ140台、暑さ対策も
「あと11万ドル、至急だ」巨額マネーが動いた五輪招致
五輪チケット、詐欺に注意を 通知メールにURLなし
五輪会場近くの一般道にも専用・優先レーン 渋滞対策案
みかじめ料払った店の罰則強化 五輪控え都が条例改正案
五輪専用レーン設置へ 東京―成田の高速道など60キロ
聖火ランナーの募集要項発表 1日の走者数や走行距離は
パラリンピックへ助言 谷垣氏、都の懇談会の名誉顧問に
五輪チケットの抽選申し込み終了 6月20日に結果発表
東京五輪チケット、受付を12時間延長 アクセス集中で
オリンピック開催中に直下地震 1万2千人が想定訓練
メダル数競うパラ「違和感も」 障害者との共生社会とは
化学テロで解毒剤注射、医師以外も 五輪で厚労省検討
東京五輪チケットにホストタウン枠 一律30枚用意
頭上に巨大コンクリ「命いくつあっても…」五輪建設現場
東京五輪・パラスポンサー企業、LGBT対応3割未実施
「半世紀応援ありがとう」オリンピックおじさんにお別れ
東京五輪、ゆりかもめや京王線の一部で深刻な混雑予測
武道館の「玉ネギ」、東京五輪に向けお色直し中
手のひら返すIOC、表でかばい裏で圧力 竹田会長退任
「潔白証明すべく今後も努力」 竹田会長、16分の質疑
疑惑契約は官民含む「オールジャパン」 幕引きまだ早い










