91歳で亡くなった田辺聖子さんと親交があった作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(97)が10日、朝日新聞の取材に応じ、田辺さんとの思い出などを語った。
「人生の贈りもの」「おせいさん気まま語り」など、過去の記事で振り返る田辺聖子さんの足跡
「にぎやかで、書くものも楽しいし、対談も楽しかった」。「カモカのおっちゃん」のモデルだった夫の川野純夫さんといつも一緒で、対談にも連れてきたが、後で編集者が川野さんの言葉を削ると、「田辺さん怒るの。おっちゃんがあんなに良い意見を言ったのにって。おっちゃんも、臆面もなく『聖子は天才だよ』なんて言って。2人が愛し合って、一緒になったことは、大成功だったと思います」と振り返った。
作品も高く評価した。「ユーモアのある小説で、文学的なものを書くのは非常に難しいんです。聖子さんは小説もエッセーもうまくて、本当に才能のある人でした」。田辺さんは早くから自由な女性を作品に書いたが、「思想的な運動などはなかったわね。彼女自身が自由に生きて、あの頃、普通の女の人ができないような生き方をしていました」と語った。
「お見舞いもできなくて残念でした。たった一度でもいいから、もう一度会いたかったと思います」と悼んだ。(山崎聡)