米配車大手ウーバー・テクノロジーズが日本で展開する飲食宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達員らが12日、労働組合の結成に向けた準備会を都内で開いた。参加した約20人の配達員と弁護士らからは、ウーバーイーツの事業の問題点を指摘する声が相次いだ。
配達員は個人事業主という立場でウーバーと契約しており、同社と雇用関係にはない。そのため労災や雇用保険の対象にならず、配達中に事故があっても治療費が自己負担になってしまう。準備会の呼びかけ人の川上資人弁護士は「春ごろからツイッター上で運営側への疑問の声が増えていた。労組の目的は会社との対決ではなく、皆が働きやすくなること。まずは問題点をシェアして、要求につなげたい」と話した。
配達員の女性(41)は今月初め、自転車で配達中に自動車と事故を起こし、相手に治療費を請求された。ウーバーは配達員の対物、対人の損害保険に加入しているが、同社には「保険適用できるかわからない」と言われた。「会社とのやりとりは全てメール。結局自分で対応せざるをえなかった」という。
配達員からは不透明な報酬体系への不満も聞かれた。最近、集計ミスがあったとしてウーバーが配達員への報酬額を修正していたことも明らかになり、「直近1カ月分で1万円近く追加で支払われた」と話す男性もいた。
川上弁護士は「企業への従属性が高いにもかかわらず労災の対象にならないことが最大の問題。欧米ではプラットフォームを介して働く人を保護する動きが起きており、日本は遅れている」と指摘する。準備会は8月1日も会合を開き、労組設立を目指す。
海外でもウーバーを巡る働き手の不満は高まっている。今年5月に米ニューヨーク株式市場に上場した時には、配車サービスの運転手らが待遇改善を求め、ニューヨークやロンドンなどでストライキを行った。(村井七緒子)