築40年余り経ったJR博多駅周辺のビルの建て替えを一気に進めようと、福岡市は29日、敷地をいっぱいに使って「太いビル」を建てられる規制緩和策を発表した。延べ床面積を2~3割増やす効果が見込めるという。
博多駅周辺は福岡空港に近く、容積率を緩和してもビルを高くするには制約がある。一方で、容積率緩和の条件の一つとなっている広場をビルの周りに造れば、建てられる面積が減り、「細いビル」しか造れなくなる。
これを解消する手立てとして、屋根がつく形で下層階の一部を広場にしても、ビルの周りの広場と同様に優遇する。これにより太いビルを建てられ、高層階フロアを広くできる。
このほか、容積率自体を上積みする制度も始める。
周辺は山陽新幹線開業などに合わせて建った築40~50年のビルが多い。市によると、まとまった床面積やセキュリティー機能の確保が企業誘致の課題となっているという。
そのため、市は「博多コネクティッド(つながる)」と銘打ち、駅から半径約500メートル(約80ヘクタール)で建て替え優遇策を導入する。2028年末までの完成が条件。今後10年で20棟の建て替えが目標だ。
JR九州や西日本シティ銀行、福岡地所など関係17社は29日、「博多駅エリア発展協議会」を設立。市と連携し、建て替え促進やにぎわいづくりに取り組む。賃貸オフィス仲介大手の三幸エステート福岡支店の中村龍治支店長は市の一連の誘導策について「建て替えを促進する起爆剤になるのではないか」と話した。