北朝鮮が国連安全保障理事会の制裁決議の上限を超える石油精製品を密輸していたとして、米国などが安保理の北朝鮮制裁委員会に今後の輸出を停止する通知を出すよう求めたことに対し、中国とロシアが18日、異議を表明し、通知を事実上阻止した。安保理関係者への取材でわかった。
朝日新聞が入手した米国の制裁委への報告書によると、北朝鮮は今年1~4月、70回超にわたり、海上で船を横付けして荷物を積み替える「瀬取り」と呼ばれる手法で石油精製品の密輸をくり返した。
この結果、密輸量は2017年12月に安保理決議が定めた上限の年間50万バレルを超え、最大で109万バレルに達したとみられる。日韓など二十数カ国が署名した報告書では、国連加盟国が石油精製品の北朝鮮への輸出を全面的にやめるよう要求していた。
制裁委は18日までに安保理メンバーから異議が出なければ、加盟国にこの内容を通知する予定だった。だが、安保理関係者によると、北朝鮮の後ろ盾であるロシアと中国がこの日、より詳細な報告を求める意見を伝えたという。(ニューヨーク=藤原学思)