(16日、高校野球大分大会 情報科学9―1日田)
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「タッちゃん、先頭切っていこー!」
四回表、継投した日田のエース宮崎達矢君(3年)がマウンドに上がると、応援席から大きな声が響いた。「任せろ」という気持ちで投げ、先頭打者を一ゴロに打ち取った。
「達矢」の名は、あだち充の野球漫画「タッチ」に影響を受けた父が、主人公にちなんで付けた。幼い頃からあだ名はマンガと同じ「タッちゃん」。試合中、グラウンドでもスタンドからも「タッちゃんいいよ、その調子!」「ナイス、タッちゃん」という声が飛び交った。
五回を三者凡退に抑え、「チームに勢いを与えられる」と思った。だが六、七回と打者を背負うと気持ちが焦った。直球や変化球を次々と外野に運ばれた。試合は七回コールド負けで終わった。
漫画のように甲子園へは行けなかった。それでも試合後は「最高の仲間と野球ができた。3年間やってきたことは無駄じゃなかった」と振り返った。
高校野球の幕は下り、思いは次の夢へと飛んだ。「教師になって、チームを勝利に導く野球の指導者になりたい」。タッちゃんの挑戦は続く。(前田朱例亜)