(10日、高校野球大分大会 日田10―1玖珠美山)
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開始から雨に見舞われた試合の一回表。玖珠美山の2番打者古後朝陽(あさひ)君(1年)が四球を選んだ。「どんな形でも出るという気持ち。後ろに自分よりいい打者がいるから」。続く兄の太陽君(3年)が二塁打で好機を広げ、次打者の打球で朝陽君が先取点となるホームを踏んだ。
「太陽は打の柱。そこに朝陽が攻撃的二番打者として入って、攻撃の形ができた」と金谷昭二監督。
幸先は良かったが、雨の影響もあって先発の衛藤悟君(3年)の球が浮く。捕手の太陽君が「ワンバウンドになっても止めるから」と声をかけ、球は低めに集まるようになったが「相手が一枚上手で打たれてしまった」。序盤から点差をつけられる展開に打って点を取るしかなくなったが、打線は空回りした。
兄弟で戦った高校最初で最後の夏。「(弟は)次男でやんちゃだけど、野球になると人が変わる。選手として信頼できた」と太陽君。朝陽君は「もう1試合でも2試合でも、一緒に野球をしたかった」と悔しさをにじませた。
試合後、互いに健闘をたたえた2人。「悔いはないです」と晴れやかな笑顔の太陽君の横で、朝陽君は目を赤くしていた。(寿柳聡)