邵主任によると、全死因死亡リスクとは、全ての死因の死亡率で、一定期間内に各種原因で死亡した人の数が同期の平均人口数に占める割合だ。
今年、米国立衛生研究所(NIH)が中年・高齢者約5000人を対象に行った調査では、1日の歩数が4000歩の人と比べると、8000歩、1万2000歩の人の全死因死亡リスクはそれぞれ51%、65%低く、歩数とリスク低下の間に関連性が認められた。
興味深いのは、この2つの研究では、歩行強度と全死因死亡リスクとに関連性が見られなかった点だ。「中国人の食事ガイド」(2016年版)を分析した専門家は、「各自が1日当たり6000歩かそれ以上に相当する日常の運動量を保たなければならない」とアドバイスしている。
「1日1万歩」は歩数計の宣伝文句が由来?
陸主任は、「健康のためには1日1万歩を目標に歩くことが必要と一般的に言われているが、この歩数には現時点では科学的根拠がない。ウォーキングをする場合は、少しずつ歩数を増やし、適切な程度内でとどめておくべきだ」と指摘する。
では、「健康のためには1日1万歩」という概念はどこから来たのだろうか?英国放送協会(BBC)のドキュメンタリー「The Truth About Getting Fit」は、その由来を追跡し、1960年代に日本で流行した歩数計の商品名「万歩計」だとしている。
当時、「万歩計」のメーカーが行った大まかな統計によると、日本人の1日当たりの歩数は平均3500—5000歩だった。歩数計に運動をサポートするという概念を盛り込むために、そのメーカーは、平均歩数に2を掛け、1日に1万歩歩くことと健康維持を結びつけた。そして、少しずつ「1日1万歩」というフレーズが広がっていったのだという。
邵主任は、「ただ、現時点では、『1日1万歩』を推奨する公式機関の見解はなく、それが健康に良いことを示す関連研究もない」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年5月13日