貴ノ岩(左)は寄り切りで臥牙丸を破る=水野義則撮影
(25日、大相撲春場所千秋楽)
相撲特集:どすこいタイムズ
荒れる春場所と言われるが、貴乃花部屋にとって嵐のような15日間だった。
中日に十両の貴公俊(たかよしとし)が取組後の支度部屋で付け人を殴り、9日目から休場。双子の弟である十両の貴源治は支度部屋で涙した。千秋楽で勝ち越しを決めると、ようやく弟に笑みがもれた。「いろんなことがあって、特別な場所でした。兄貴は(幕下に)落ちても戻ってくると思う。二度と同じことがないよう、部屋全体でやっていきます」
元横綱日馬富士の傷害事件で被害者となった十両の貴ノ岩も、ようやく千秋楽で勝ち越し。勝っても負けても神妙な表情だったが、この日の取組後は柔和な笑顔ものぞいた。「思い切って相撲がとれました」と語った。
師匠の貴乃花親方(元横綱)は貴ノ岩について「相撲人生において大きなこと。15日間やってくれたのは、私の中で一番の喜びです」。春巡業は休場させる意向を示し、「体のケアをしてから、慎重に見ていきたい」と話した。
打ち出し後、京都市内のホテルで行われた部屋の千秋楽打ち上げパーティーには約500人が出席。会の途中で取材に応じた親方は「『頑張って欲しい』と激励の言葉が多い。貴公俊の件は私の師匠としての責任が重い。すべてをゼロにしてスタートする。とにかく心配をかけたことをおわびして、精進いたします、ということを伝えたい」と話した。