これはいったいどういうわけだろうか?「地震ですよ!」と韓氏は説明する。ファイザバード県は南天山柯坪地震断裂帯上に位置し、大小の地震が絶えない。一度地震が起こると、地下の水位に変化が生じ、水質も悪化する。ポンプ井戸を掘っても、2-3年ほど経つと水質がダメになってしまうのだ。
ファイザバード県英買里郷拉依力克村で、新しく引かれた水道の水でリンゴを洗う村民(撮影・単坤)。
2014年、中国はファイザバード県の飲用水の安全性に関する問題を国家重点民生プロジェクトに組み入れた。技術者は水を探してファイザバード県中を歩き回り、すべての可能な状況を検討した結果、最終的に他県から水を引くことを決定した。ムスタグアタ山の氷河の雪解け水が流れる盖孜川から取水し、809万立方メートルの砂沈殿池で沈殿させた後、総浄水場で処理し、3つの県を跨ぎ、1827キロを越える水道管を経由して、ファイザバード県の各世帯へと水道を引いた。
2019年5月、取水、送水、給水の3つの部分から成るファイザバード県の都市・農村飲用水安全プロジェクトが正式に着工。投資総額は17億4900万元(1元は約15.9円)で、1日の処理能力が8万5千立方メートルに達する総浄水場、新規建設または拡張建設した17の浄水場を含むもので、国内で現時点において単体として投資規模が最大の飲用水安全プロジェクトとなった。
5月20日、きれいで美味しい盖孜川の水が水道から流れ出た。各指標もすべて国家飲用水基準に達した。
「これは貧困脱却の難関攻略プロジェクトであり、民生プロジェクトでもある」と韓氏は言う。韓氏によると、水質改善プロジェクトが終わった後、地下水を節約し、水源を涵養するため、県全域で灌漑や飲用水のポンプ井戸140本の使用を停止したという。
「十三五(第13次五か年計画)」の実施以来、新疆では農村飲用水安全プロジェクトを400件以上実施し、すべての貧困層の飲用水の問題が解決され、南新疆では砂漠や辺鄙な高地、寒冷地にあり水道が引かれていなかった67の村全てに水道が通り、農村の水道普及率は90%以上に達し、全国平均を上回った。2005年と比べ、水系伝染病の発病率は80%低下した。
今では、伊米提さんの家では台所とトイレ、庭にそれぞれ1つ水道が引いてあり、蛇口をひねるだけで美味しい水を飲むことができるようになった。「生きているうちにこんなにきれいで美味しい水を飲めるようになるなんて、思ってもみなかったよ」と伊米提さんは笑顔で話した。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年11月13日