【北京・大谷麻由美】旧暦8月15日の中秋節に贈り物にする習慣のある月餅(焼き菓子)の包装が年々過剰になってきたため、中国政府は「国家基準」を策定し、来年から強制的に順守させることを決めた。中国では、エネルギー不足やゴミ問題などが深刻化。循環型社会の建設に向けて「節約」がキーワードになっており、月餅にも節度を求めた形だ。
今年の中秋は9月18日。中国のデパートなどでは月餅が大々的に売り出されている。経済発展に伴い、人々のし好の多様性に合わせたさまざまな月餅が登場。伝統的な塩漬け卵黄の入った月餅のほか、朝鮮ニンジン月餅やフルーツ月餅、フカヒレ月餅、アイスクリーム月餅などが話題を呼んでいる。
一方で、過剰包装も社会問題化してきた。紙でチョウをかたどった小箱に月餅を入れるなど外見の華やかさが追求され、値段も年々高くなってきた。中国では知人や親族のほか、取引先や関係の深い行政機関の幹部らに月餅を贈る例も多く、見栄えがする包装が好まれてきたからだ。
策定された「国家基準」では、▽包装の原価が月餅の出荷価格の25%を超えてはならない▽月餅1個ずつの包装では、包装の中にできる空き部分は35%を超えてはならない▽包装した月餅と外箱とのすき間が2.5センチを超えてはならない--などが規定されている。