巨人は17日、中日からFA宣言した野口茂樹投手(31)と都内のホテルで2度目の交渉を行い、入団が決定した。2年契約で年俸は現状維持の1億80万円、背番号は「31」。交渉後の会見には原辰徳監督(47)も同席し、待望の先発左腕獲得に来季のローテーション入りも確約した。
9日の1回目の交渉から、わずか8日でのスピード決着。宮崎から帰京し、その足で会見に同席した原監督は「早めに相思相愛的な部分で決断してくれて、大変感謝している。現場の監督としてビッグニュースです」と声を弾ませた。
ホテルに到着すると、原監督は一目散に交渉会場となった部屋へ直行。先に待っていた野口の姿を見ると「よく来てくれた!」とすぐさま握手を求めた。「うれしさを子供のように表現しちゃったよ」と原監督。リーグMVP選手をFAで獲得するのは99年の工藤以来2人目。待望の先発左腕の加入に指揮官は「本人が自分の投球をマウンドでできる状態なら、先発の一角という形で任せたい」と明言した。
9日の前回交渉でも、原監督は宮崎から携帯電話でラブコール。怒とうの熱意に野口も「すごく人情味あふれる監督だな、と。自分が必要とされてるんだなと感じた」と興奮気味に話した。今季は中日で登板機会に恵まれずに3勝止まり。それでも環境が変わることで「気持ちも一新して、自分の中ではすべてを変えていきたい」と野口は話した。中日時代は寮、ホテル暮らしが続いていたが、今回の移籍を機に「マンションに住むつもり」とプロ13年目にしてついに“独立”を決断。覚悟は並大抵ではない。
「基本的には2年契約。でも活躍して(現役の)最後までいてほしい」(清武球団代表)と、球団側も“生涯契約”でバックアップする。V奪回への投手陣強化。まずはその一角が埋まった。
≪人的補償を再検討≫野口の巨人移籍が決まったことを受けて中日・井手編成担当は「人的補償についてはゆっくり考えます。ドラフトで何人獲得できるかでも変わってくる。28人のプロテクトから漏れる選手も分からないんだからね」と話した。西川球団社長も「(人的補償を)用いない可能性も十分にある」と話し、大学・社会人ドラフト終了後に再検討する方針だ。