試合前の練習でキャッチボールをする巨人の菅野=東京ドーム
(13日・プロ野球 巨人10―2広島)
巨人が連敗を6で止めた。一回、岡本、中井のアーチなどで5点。五回にもマギーの2ランなどで3点を奪い突き放した。菅野は今季初勝利した。
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「点差は関係ない」
7点のリードを得ても、巨人の菅野はピンチで口を真一文字に結び、集中力を研ぎ澄ませた。
六回無死一、三塁。ストライクを取るのか、空振りを狙うのか。すべての速球、変化球に、意図を込めた。松山、安部、西川と広島の左打者3人を3者連続で空振り三振。無失点で切り抜け、ゆっくり歩いてベンチへ戻った。
昨季はプロ野球の投手にとって最高の栄誉、沢村賞にも輝いた日本のエース。一転して今季は、出だしでつまずいた。「相手に勝つという気持ちを前面に出す」と決意した開幕戦で、5失点。前回登板も負け投手となり「頭では分かっているけど、体が連動してくれない」と弱気な発言も出ていた。この黒星から、チームの6連敗が始まった。
不調の原因は、新たに覚えたシンカーでは――。そんな臆測もあった。この夜は、新球種を1度も投げず、低めに落としたのは、すべてフォーク。だから試合後、シンカーについて聞かれると「一つ言いたいのは、シンカーを投げ始めなかったら、今のいいフォークの精度もなかった。得たものは大きい」。一瞬だけプライドをのぞかせた。
連敗街道が始まったのがエースからなら、止めたのもエースだった。ようやくの“開幕”に「ホッとしています。今日の1勝は忘れられない」と余韻に浸った菅野。チーム浮上の原動力になりそうな勝ち星だ。(井上翔太)