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【エルサレム樋口直樹、カイロ高橋宗男】米仏両国がレバノン情勢の打開を目指す国連安保理決議案に合意したことを受け、国際社会は停戦実現に向けた一歩を踏み出した。しかし、レバノン側が決議案への不満を表明している一方、イスラエルは引き続き戦闘を継続する意思を示すなど、当事者間には依然として深い溝が横たわっている。6日にもイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの攻撃によりイスラエル軍に多数の犠牲者が出ており、即時停戦の実現は困難な状況だ。 レバノンメディアによると、シニオラ首相は5日夜の閣議を挟み、ライス米国務長官と約50分にわたって電話協議を行い、「この決議案はレバノンとイスラエル双方のいかなる問題をも解決しない」と不満を表明した。 レバノン側は先月ローマで開催された国際会議でシニオラ首相が提示した▽即時停戦と、拉致イスラエル兵とアラブ人捕虜の交換▽イスラエル軍の国境以南への撤退と避難民の帰還▽レバノン政府によるヒズボラの武装解除--などからなる「7項目」の要求に固執している。 シニオラ首相はこれを踏まえ「国境以南へのイスラエル軍の即時撤退」と「国連レバノン暫定軍(UNIFIL)とレバノン国軍の展開によるレバノン主体のリタニ川以南の管理」をライス長官に主張。背景には、決議案が定める新たな国際部隊が、南部の管理やヒズボラ武装解除の面でレバノン政府の主権を脅かしかねないとの懸念があるとみられる。 一方イスラエル放送によると、イスラエルのラモン法相は6日、レバノン南部に国際部隊が到着するまで、同軍は既に支配下に置いている同地の「安全保障地帯」に駐留し、軍事作戦を続行すると語った。レバノン政府やヒズボラが求める即時撤退に応じるつもりがないことを確認した形だ。イスラエルは同地に駐留しているUNIFILには停戦の実行力がないとみており、より強力な国際部隊が到着するまで安全保障地帯の掌握、拡大を目指すとみられる。 イスラエル放送によるとオルメルト首相は6日午前の閣議で「(安保理決議案の内容を)気にしてはならない。草案にすぎず、これから(内容が)変化する」と述べた。 毎日新聞 2006年8月6日 |
レバノン:米仏の決議案合意も、即時停戦は極めて困難
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