【カイロ高橋宗男】国連のアナン事務総長は4日、訪問先のサウジアラビアで記者会見し、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエル軍の戦闘のきっかけとなった拉致イスラエル兵2人の解放に向けて、特使を任命する考えを明らかにした。ロイター通信が伝えた。
アナン事務総長は「(イスラエルとヒズボラの)双方が問題解決に向けた事務総長の努力を受け入れた」と述べた。また交渉を秘密裏に行う考えを示した。停戦を求めた国連安保理決議1701は、イスラエル兵の無条件解放をヒズボラ側に求める一方、イスラエルに拘束されているレバノン人捕虜については「解放を促す」との表現にとどまっている。
このためヒズボラは決議の内容は不公平と主張しており、捕虜交換の中でイスラエル兵を解放するとの姿勢を崩していない。ヒズボラ側は国連の仲介を受けた間接交渉で、イスラエル側の譲歩を引き出すことを狙っているとみられる。
一方、ロイター通信によると、イスラエル外務省報道官は「国連決議には拉致兵士を無条件で解放すると明記しており、事務総長は助力するのであって仲裁するのではない」と述べ、交渉を行うつもりはないとの公式的な立場を改めて強調した。
毎日新聞 2006年9月5日