【エルサレム樋口直樹】レバノンからの情報によると、同国のイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師は14日夜、イスラエルとの停戦発効後初めてテレビで演説し、対イスラエル戦での勝利を宣言する一方、現時点での武装解除に反対する考えを表明した。
ナスララ師は「我々は戦略的、歴史的勝利を前にしている。我々の敵(イスラエル)は敗者だ」と主張。レバノン政府などが停戦受諾を機にヒズボラの武装解除について協議しようとしていることについて「精神的にも、道徳的にも(協議の)時期を誤っている」と批判した。
先に国連安保理で採択された停戦決議は「レバノン政府の同意無しにいかなる武器も存在せず、同政府以外のいかなる権威も認めない」ことを明記しヒズボラに武装解除を迫っている。
安保理決議はまた、既存の国連レバノン暫定軍(UNIFIL)を増強し、レバノン政府軍とともにヒズボラの拠点であるレバノン南部へ展開することを定めている。これに対しナスララ師は「レバノン軍や国際部隊(UNIFIL)にレバノンを守ることはできない」と述べ、ヒズボラの存在意義を誇示した。
毎日新聞 2006年8月15日