犯罪被害者が公判に出席して被告へ直接質問などができる「被害者参加制度」と、被害者が刑事裁判に併せて被告に損害賠償請求できる「付帯私訴制度」が、08年秋に始まる見通しになった。その半年後の09年春には、国民が重大事件の審理に加わる裁判員制度もスタートし、日本の刑事裁判は転換期を迎える。
両制度を盛り込んだ刑事訴訟法改正案が今国会で成立すると、最高裁は、被害者参加制度と付帯私訴制度を具体的にどのような手続きで進めるか、規則を定める作業に入る。また、実務を担当する裁判官や検察官に周知するのにも時間がかかり、すぐに両制度を実施するのは難しい。その一方で、導入時期が裁判員制度と重なれば、裁判所の負担が増し、混乱も予想されるため、法務省は、裁判員制度より半年程度先行して被害者参加制度と付帯私訴制度を実施する方針を固めた。
このため、法務省は今国会に提出する法案で両制度の施行時期を「公布後1年6カ月以内」とすることにした。
被害者参加制度では、被害者や遺族らが「被害者参加人」として法廷のさくの内側に入ることが認められ、被告や情状証人に直接質問したり、検察側の論告と同じように事実関係について意見を述べることができるようになる。付帯私訴制度は、刑事裁判の有罪判決が出た後に、同じ裁判官が引き続いて民事の損害賠償請求を審理するため、被害者側の立証負担が軽くなる利点がある。【森本英彦】
毎日新聞 2007年2月27日 3時00分