今年6月公開の映画「サイドカーに犬」(根岸吉太郎監督)に主演した竹内結子さん(27)が山路ふみ子映画賞の女優賞に選ばれ、30日に東京都内で開かれた贈呈式で表彰された。竹内さんは「賞状をもらうのは何年ぶりだろう。学校の卒業式を思い出しました。あの作品と卒業できたような気がします。いまやっとこの賞の重みを実感しています」と受賞の喜びを語った。
山路ふみ子映画賞は、その年に発表された日本映画に対して最も早く贈られることで知られ、今年で31回目を迎えた。04年12月に92歳で亡くなった戦前を代表する女優の山路ふみ子さんは、日本映画の振興のため私財を投じ、76年に文化財団を設立し同映画賞の授与を開始した。
竹内さんは同作品の撮影を振り返って「根岸監督は優しい方でゆったりと考えさせてくださったので、本当に自由に演技できました」と話した。新人女優賞は「神童」「あしたの私の作り方」「きみにしか聞こえない」の3本に主演した成海璃子さん(15)。「今後、頑張っていきたいと思います」とあいさつし、「三つの役をあまり固めすぎないで、自然体で演技できました」と気負わず伸び伸びと演じられた様子だった。
その他、昨年11月から今年10月までに劇場公開された映画関係者から選出される映画賞は「それでもボクはやってない」を手がけた周防正行監督(51)が受賞。周防監督は「この作品には誇張は一切ありません」と強調した。映画功労賞は単行本「複眼の映像 私と黒澤明」を出版した映画の脚本家でプロデューサーの橋本忍さん、文化賞は直木賞作家で長年、映画の評論を手がけている長部日出雄さん、福祉賞は「ふみ子の海」を手がけた近藤明男監督に贈られた。近藤監督には、同作品に出演した子役の鈴木理子さん(12)と尾崎千瑛(ちあき)さん(14)や原作者の市川信夫さんが祝福に駆けつけた。【細田尚子】