トヨタグループ8社が3日に発表した2014年4~12月期連結決算は、デンソーなど4社が営業減益となった。消費増税後の国内市場の低迷が長期化し、収益を圧迫している。中国など新興国でも成長の鈍化が進み、見通しにも悲観的な声が目立った。足元の利益を削って実施している先行投資や研究開発の成果を得られるかが来期以降の収益を左右する。
デンソーの営業利益は12%減った。伊藤健一郎常務役員は「国内の工場操業度が低下したことに加え、能力増強投資などで償却費が膨らんだ」と指摘。国内販売は消費増税後の回復が鈍く、各社の収益を圧迫している。また、デンソーでは小型車の比率が高まったことによる利益率の悪化も響いた。こうした部品納品車種の小型化などに伴う「モデルミックス」の悪化は豊田合成の減益要因にもつながった。
通期見通しも5社の営業利益が前期比で悪化する。為替の円安傾向が追い風になっているが、新興国や日本の市場環境が打ち消す。デンソーは為替を円安方向に見直し、通期の見通しを上方修正したが、中国市場の弱含みを反映。営業利益の上方修正幅は円安による増益分を下回る。アイシン精機も中国や国内の弱含みを見込み、営業利益は従来予想を据え置いた。
来期に向けて、今期計上した先行投資などの費用が利益につながるかが今後の焦点だ。デンソーの伊藤常務役員は「来期以降回復に向かう」と指摘。減損損失を計上したトヨタ紡織も「損失計上を将来の利益のための構造改革のきっかけにしたい」(野田憲一取締役)と意気込む。