【ブリュッセル=御調昌邦】欧州連合(EU)とギリシャは12日、同国の金融支援問題をめぐり、互いの案を精査するための実務者協議を開始することで合意した。ギリシャのチプラス首相は同日のEU非公式首脳会議で、緊縮に反対する自国案を各国首脳に直接説明した。16日のユーロ圏財務相会合で支援継続での合意を目指すが、両者の隔たりは大きいままだ。
12日、EU首脳会議で仏オランド大統領(右)と険しい表情で話をするギリシャのチプラス首相(ベルギーのブリュッセル)=ロイター
実務者協議の開始は、EU側のユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)とギリシャのチプラス首相が会談して合意した。実務者協議にはトロイカと呼ばれるEUの欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の3者からなる合同調査団が参加する。
チプラス氏は12日の記者会見で、金融支援問題について「16日に合意できる」と述べた。そのうえで「(トロイカは)もはや存在しない」と何度も繰り返し、トロイカが緊縮に固執する限り交渉相手として認めない方針を改めて示した。
EUとギリシャは11日の会合で交渉を巡って大きな溝があることが鮮明となった。現行のギリシャ支援の枠組みは2月末までとなっており、実務者協議の開始は3月以降の支援継続に向けて一歩前進した形だ。ただ、デイセルブルム氏は記者団に「実務者協議には楽観的だが、政治的な協議には非常に慎重だ」と述べ、合意に時間がかかるとの見方を示した。