【ワシントン=川合智之】米国とキューバが27日、ワシントンで開いた国交正常化に向けた第2回高官協議で、人権や渡航などの個別議題について議論を継続することで一致した。米側代表のジェーコブソン国務次官補(米州担当)は協議終了後、記者団に「意義ある前進があった」と強調したが、大使館再開などの具体的な日程は合意に至らなかった。4月の米州首脳会議での首脳会談の実現に向けて引き続き調整する。
高官協議は昨年12月に両首脳が正常化交渉の開始を宣言してから2回目。両者は3月に複数回にわたって協議を続け、人権や通商、民間航路開設、移民、インターネット整備などについて話し合うことで合意した。人権ではキューバ国内の言論や政治活動の自由などについて議論する見込み。
両国は相手国の首都に利益代表部を設置しており、大使館への格上げを検討している。米は4月に中米パナマで開く米州首脳会議でオバマ米大統領とラウル・カストロ国家評議会議長の首脳会談を実現するため、会談前の大使館再開を目指す。個別分野の協議進展をテコに、大使館の再開につなげたい考えだ。
キューバ側は大使館再開よりもテロ支援国家指定の解除を優先すべきだと主張していた。キューバ代表のビダル外務省米国担当局長は27日、記者団に対し、指定解除は「前提条件ではない」と述べ、態度を軟化させたものの「非常に重要な問題だ」とも強調した。
キューバが求める経済制裁の全面解除には米議会の協力が不可欠だが、野党共和党を中心に反対意見が根強い。4月の首脳会談の実現に向け、今後双方がどこまで歩み寄れるかが焦点になる。