日銀の中曽宏副総裁は9日午後、松山市で記者会見し、足元で再び1ドル=121円台に下落した円相場に関して「水準についての具体的なコメントは避ける」としつつ、一般論として「経済や金融のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映して安定的に推移するのが望ましい」との認識を示した。その上で「日銀は2%の物価安定の目標を早期に実現するために量的・質的金融緩和を進めている」として、為替相場に影響を与えることは目標としていないと改めて強調した。
円安は「輸出の増加やグローバルに展開する企業の収益改善、訪日外国人客の増加といった効果がある」と指摘。一方で、「輸入コストの上昇や価格転嫁を通じて非製造業などの収益、家計の押し下げにも作用する」として、経済主体によって影響が異なるとの見解を示した。中曽副総裁は午前中の講演では、輸出について「円安による数量効果がようやく出てきた」と指摘していた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕