【ジュネーブ=原克彦】世界保健機関(WHO)は12日、エボラ出血熱による死者が西アフリカの3カ国で1万4人になったと発表した。10日までの集計で、感染者数は2万4350人にのぼる。リベリアでは既に患者数がゼロになったが、ギニアとシエラレオネで感染が続いている。
エボラ熱は患者や遺体の体液に触れることで感染する。感染が止まらないのは、感染国の辺地にエボラ熱に関する情報が行き渡らず、患者の早期隔離や死者の適切な埋葬が浸透しないことが原因とされる。
感染の勢いは衰えたものの、完全な封じ込めには早くても数カ月を要する見通し。感染国と国境を接するコートジボワールなどでは警戒態勢が続く。西アフリカへの航空便の運航を中止したままの航空会社も多く、終息後も地域経済の復興が課題になる。
今回の感染拡大は2013年12月にギニアで始まった。感染確認が世界に公表されたのは14年3月で、その後は3カ国の都市部で感染者が増え急速に広がった。WHOは14年8月に「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」を宣言。感染は一時、ナイジェリアやマリなど近隣国のほか、米国やスペインにも広がった。