政府は13日午前の自民、公明両党の安全保障法制協議会で、新たな恒久法に基づいて自衛隊が他国軍を後方支援するための要件を提示した。国連決議がなくても、国際機関や欧州連合(EU)などの地域的機関の要請があれば派遣できるようにする。自民党は了承したが、公明党は「要件が広すぎる」として慎重姿勢を示した。
政府はこのほか、恒久法で後方支援する他国軍の対象として(1)武力行使を認める国連決議がある(2)武力行使容認決議に満たない国連の非難決議がある――の場合も提示した。後方支援の具体的な内容は「医療、輸送、通信、補給」などを挙げた。弾薬の提供は認めるが、武器の提供はのぞく。防衛相が自衛隊部隊の安全確保に配慮する規定も設ける。
恒久法で自衛隊を派遣する際の国会の関与をめぐっては、政府が原則として国会の事前承認を得ると提案したが、公明党は例外なく事前承認を得るよう主張した。
自衛隊の海外活動に関する法整備の枠組みは、後方支援については恒久法と周辺事態法改正案の2法、人道復興支援については国連平和維持活動(PKO)協力法改正案で対応することになる。
政府はPKOでの自衛隊派遣に関する「PKO5原則」の一部を修正する方針も示した。有志連合などPKO以外の枠組みでも参加できるようにするほか、治安維持などの新たな任務に対応するため武器使用権限を拡大する文言を盛りこむ。
周辺事態法の改正では、地理的な制約がある「周辺事態」に代わる「重要影響事態」という政府の新しい概念について、公明党は「概念が広すぎる」と指摘した。
与党は20日の次回会合での大筋合意を目指す方針を確認した。協議メンバーの一人は「法案の閣議決定は5月20日ごろになる」との見通しを示した。