【ワシントン=矢沢俊樹】米連邦議会下院の野党・共和党は17日、2016米会計年度(15年10月~16年9月)の歳出入や中期的な財政の姿を示す党独自の予算決議案を公表した。24年までの9年間で米財政赤字を解消することが柱。米医療保険制度改革法(オバマケア)全廃や「実質増税なし」を盛り込み、オバマ政権への対決姿勢を鮮明にした。
予算決議案は日本の予算案に相当するもので、単年度の歳出入だけでなく中長期の国の財政や債務残高も示している。上下両院の多数派を占める共和は独自案でオバマ政権を揺さぶる構えで、予算の攻防が本格化する。
共和案の最大の特徴は社会保障などで膨らむ現行の歳出ペースを大幅に抑制し、9年間で財政均衡を目指す点だ。具体的には事実上の国民皆保険を目指したオバマケアを完全に廃止して公費(税)負担を減らすほか、既存の低所得者向け医療費も削減する。テロ対策などの国防関係への切り込みは浅い。
一方で税などの歳入の面については中期的にも実質的な増減を「ゼロ」と見込んだ。オバマ政権が主張する富裕層向け大型増税などに応じない構えを示した。