財務省が18日発表した2月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は4246億円の赤字だった。貿易赤字は32カ月連続だが、赤字額は前年(8061億円)に比べ47.3%減少した。QUICKが17日までにまとめた民間予測の中央値は1兆150億円の赤字だった。中華圏の春節(旧正月)の特殊要因で前年比でみると中国を含むアジアからの輸入が大幅に膨らんだものの、原油価格の低下を反映して輸入額全体は減少した。その結果、貿易赤字が縮小した。
輸出額は前年同月比2.4%増の5兆9411億円で、6カ月連続で前年を上回った。品目別では自動車や半導体等電子部品、金属加工機械などの増加が寄与した。地域別では米国向けが14.3%増加した。自動車や建設用・鉱山用機械などの増加が目立った。欧州連合(EU)向けは1.9%増加した。一方、中国を含むアジア向けは有機化合物や鉱物性燃料の減少などが響き、1.1%減少。対中国に限ると、17.3%減少した。輸出全体の数量指数は前年同月比2.1%減り、3カ月ぶりに前年を下回った。
一方、輸入額は前年同月比3.6%減の6兆3657億円で、2カ月連続で前年を下回った。原油価格の低下を反映し、原粗油の輸入額は54.8%減少し、7カ月連続で前年を下回った。石油製品や液化石油ガス(LPG)などの減少も目立った。
地域別の輸入額を見ると、米国からが0.5%増加、EUが3.8%減少した。最大の輸入地域であるアジアは16.8%増え、このうち中国は39.4%増加し、いずれも比較可能な1979年以降で2月の輸入額としては最大となった。財務省は「今年は2月19日に春節が始まった特殊要因があり、中国、アジアからの輸入が例年より増えた」と説明している。輸入全体の数量指数は前年同月比4.5%増え、5カ月ぶりに前年を上回った。為替レート(税関長公示レートの平均値)は1ドル=118円12銭で、前年同月比14.9%の円安だった。
財務省は2月の貿易赤字が前年対比で大幅に縮小した主な理由として原粗油の輸入価格の低下を指摘。今後の貿易統計の見通しについても「原粗油価格が上がらなければ輸入額が減る影響が続く」としている。〔日経QUICKニュース(NQN)〕