浜松市の天竜川で2011年8月、川下り船が転覆し5人が死亡した事故で、静岡地検は30日、業務上過失致死罪で船頭ら3人を在宅起訴した。共に書類送検された運航事業者の第三セクター「天竜浜名湖鉄道」の元社長(67)、事故で死亡した別の船頭は不起訴処分とした。
起訴されたのは、安全管理担当の同社元営業課長、松野幸夫被告(57)、操船を指導していた船頭主任、小山正博被告(66)、船のかじを取っていた船頭、大畑茂雄被告(65)の3人。地検は元社長を不起訴とした理由について「事故を予見できたと裏付ける証拠がなかった」としている。
起訴状によると、松野、小山両被告は船頭に危険回避のための訓練を実施せず、大畑被告はかじ取りを誤り、死亡した船頭にも適切な指示を出さなかったとしている。
事故は11年8月17日に発生。乗客21人と船頭2人が乗った川下り船が転覆し、2歳の男児を含む乗客4人と船頭1人が死亡、乗客5人がけがをした。静岡県警は14年2月、5人を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。
同社は「事故を教訓に安全管理の取り組みを徹底する」としている。元社長は「当時の社長としておわび申し上げる。検察の判断は真摯に受け止める」とコメントした。〔共同〕