【ハノイ=富山篤】ベトナム政府の諮問機関であるベトナム国家財政監視委員会は3日、2015年通年の国内総生産(GDP)の実質成長率が6.5%と政府目標(6.2%)を上回る見通しを示した。6.03%と好調だった1~3月のけん引役である製造業、個人消費の好調が続くと指摘した。アジア開発銀行(ADB)の予測では東南アジアでトップのフィリピン(6.4%)を抜く可能性も出てきた。
成長率6.5%は10年の6.78%以来の高い伸び。同委員会は1~3月を「想定外の高い成長率」と評価。年間を通じて韓国サムスン電子などの外資製造業、不動産、建設業がけん引役となると予測した。
原油価格の低下によって工場の操業コストが下がり、製造業だけで当初計画に比べ22兆ドン(1232億円)多い税収が見込めると試算した。ガソリン価格の下落で家計負担が下がり、個人消費も活性化するとした。
ベトナム経済は旧正月の長期休暇がある1~3月は停滞し、公共投資が増える7~12月は活性化する傾向がある。通年の成長率は1~3月を大幅に上回るケースが多い。
政府は今回の諮問を参考情報として受け止めており、政府目標は6.2%で据え置くもよう。
ADBが3月発表した15年のアジア経済見通しによると、個人消費が堅調なフィリピンは東南アジア最大の6.4%成長、ベトナムは6.1%成長だった。