菅義偉官房長官は5日、那覇市内のホテルで沖縄県の翁長雄志知事と初めて会談した。焦点の米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古沿岸部への移設を巡り、菅氏は「唯一の解決策だ」と理解を求めたが、翁長氏は反対を唱え、平行線をたどった。今後も対話を続けることでは一致。翁長氏は安倍晋三首相との会談を求め、政府と県で調整する。
米軍普天間基地移設についての会談で握手する菅官房長官(左)と翁長沖縄県知事(5日、那覇市)
会談は約1時間。菅氏は「最重要なのは普天間の危険除去だ。移設断念は普天間の固定化につながる」と述べた。日米が合意した嘉手納基地以南の米軍の施設・区域返還などの成果に触れ「ひとつひとつ負担を軽減し、信頼を取り戻したい」と強調した。
翁長氏は「沖縄は自ら基地を提供したことはない。辺野古に基地は絶対に建設できないと確信している」と反論。「危険除去のために負担しろ、代替案はあるのか、という話をすること自体、日本の政治の堕落だ」と批判した。昨年の知事選や衆院選での移設反対派の勝利で「辺野古反対の圧倒的な考えが示された」との認識を示した。
会談後、菅氏は記者団に「これから国と県が話し合いを進めていく第一歩になった」と評価。首相と翁長氏の会談は「沖縄の考え方を聞く中で進めたい」と述べた。
ただ移設問題で歩み寄る姿勢は双方ともみせておらず、翁長氏は記者団に「基地問題で後退することはない」と語った。政府との対話に関しても「工事を中止し、話し合いに応じてくれれば一番いい」と話した。一方、菅氏は移設作業について「関係法令に基づいて進めることに変わりない」と強調した。