寺社に油のような液体が相次いでまかれている事件で、奈良県警は15日、県内で被害に遭った寺社から採取した液体を分析した結果、4種類に分けられると明らかにした。また兵庫県淡路市と滋賀県長浜市、新潟県弥彦村の神社でも油がかけられた跡などが見つかり、被害は計9府県に拡大した。
奈良県内被害の19カ所のうち、長谷寺(桜井市)など7寺社の液体は同種の可能性が高いことが既に判明。県警は15日までに別の7寺社の液体を分析し、信貴山朝護孫子寺(平群町)が長谷寺などと同種、6寺社は別の3種類と分かった。
奈良県警は文化財保護法違反などの疑いで捜査。4種類の液体の特定を急ぎ、残る5寺社でも分析を進める。寺社の集中する地区では巡回を強化している。
兵庫県淡路市多賀の伊弉諾(いざなぎ)神宮では15日午前、本殿裏側の木製扉に油のようなものがかけられているのが見つかった。淡路署によると、さい銭箱付近でも油のようなものが発見され、今月12日に被害届が出た。ほかに被害がないか点検したが、扉を見落とした可能性もあるという。
琵琶湖に浮かぶ滋賀県長浜市早崎町の竹生島にある都久夫須麻神社では昨年10月上旬ごろ、都久夫須麻神社の宮司(71)が国宝の本殿の階段などに複数のしみを発見し、今月15日に長浜署に被害届を出した。
新潟県警は15日、国の登録有形文化財になっている弥彦神社(同県弥彦村)の拝殿など7カ所に何らかの液体がまかれていたと明らかにした。〔共同〕